漫画『十二人の死にたい子供たち』ただ自殺しにきただけなのに・・・事態は思わぬ方向に

十二人の死にたい子どもたち(1) (アフタヌーンコミックス)

十二人の生き方を知らない子供たち

ラストに体がゾワゾワっとするミステリー

 

冲方丁(うぶかた とう)のミステリー小説を元に漫画化した作品。

実写化もされている。

あるサイトを通じて安楽死(自殺)するために集まった十二人の少年少女が、存在しないはずの『13人目の死体』を見つけたことにより始まった犯人捜しとその過程の話し合いの中で子供たちが心情や自殺の理由を打ち明けながら変化していく様子が描かれている。 

 

 おもしろかった(#^.^#)

読んでる時は漫画しか存在をしらなかったんですけど、すぐにあ、これ小説が原作だとわかりました。

というのもこの作品、起承転結がしっかりしてる

あまりに漫画らしくないので、調べてみるとやっぱり小説でした。

しかも、比較的文章量も多いし、ガシャン的にはこれ小説で読んだほうが面白いんじゃないかなーとさえ思うほど。もっと深く知りたいという意味でも。

読むのは多少疲れるけど、文章量はHUNTER×HUNTERにはぜんぜん及ばないくらい。

たった3巻ですからね。

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ついでに言うと映画にも向いてる。

最後のクライマックスでオチが終わったと見せかけてのもう1オチ(犯人が捕まってor死んだから終わった。。。と思ったらまだ事件は続いていた!みたいなサスペンス映画並み)とか、最初にひっかかってたいくつかのことをさいごのほんの数ページで語られる真実で全部スッキリさせてくれるスマートさというか、まさに映画にピッタリ。(実際映画化しました。)

これが漫画が原作だったら、アホみたいに連載が長続きして間延びしたストーリーになるか、意味不明and消化不良、そして唐突な急展開で突如として連載が終わるパターンになりそうで不安になるけど。

連載の弊害('ω')

 

現実見・臨場感(リアリティー)が欲しい人は映画

自分の中で膨らましたい人は小説。

想像の答えを欲しい人は漫画。

を見ることをオススメする。

 

またスタート当初の13人目を殺したのは誰か!

ていう疑問がけっこう中盤からどうでもよくなってくる。(ならないけども)

だってこの12人、各々が曲者すぎるだろっ!

推理力バカ高いし個性強いしこの状況で自分勝手な行動急にとるし。

12人もいて本当のことを言ってるのかとかしゃべり方とか表情から推測する以外事実はまったくわからないからもう事件の真相以外に気がちってしょうがない!(いい意味で)

オリエント急行殺人事件みたいな不気味さと事件の全体像が掴めない不安感が常にあった。(いい塩梅で)

結局どうなっちまうの!・・・みたいな。

 

あと。。。

この子達全然子供に見えない!

というか最後で思い出すよ。

そういえば子供だったって。

OLみたいな恰好してたりスーツ着てたりタバコ吸ったりするもんだから途中から完全に忘れてた。

 

 人間描写が見事

すべてのキャラクターが人間的にとにかく濃くて、截然とキャラ分けされてるところも見どころの1つ。

要はみんながみんな極端に性格が偏ってる。

物語だから当たり前だけど、平均的な人はいない。

というか自殺しに来た人たちだからそりゃね。。。

典型的な歪みとか鬱憤のオンパレードだけど、それがしっかりと誇張しすぎずにあーわかると思わせる性格、そしてその性格からくる言動をピッタリと描いているのも素晴らしいと思った。

例えばこの少女。

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序盤は存在感皆無だけど後半になってからけっこうキーパーソンになってくる人物。

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家族関係の軋轢から、この世のすべては輪の中にいるか外に出されるかとの2つしかないという物の見方しかできない。

そのトラウマ?コンプレックス?だけが彼女の精神を支配していて、自分が輪の中から追い出されないために追い出す側に回ろうとする言動をとる。

攻撃的防衛みたいな。

しかも極端に。

どんな会話をしていてもそういう視点でしか物事を捉えられない。

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ぜんぜんそんな話をしていないときも強引に他人を迫害することだけを意識した発言しかできず、それが結局かみ合わない。

考えすぎだろー。と思うかもしれないけど、彼女には本当にこれしかないんだからしょうがない。(ネタバレ禁止)

親が自分に残してくれたものはこの歪みだけ。

↑もうこのページを見ても思ったけども、自分の理屈で無理やり推し進めようとする感じとか、本当に彼女はことあるごとに頭によぎってずっとこんな理屈を考えてきたんだろうなーと思った。

そういうキャラ付けが終始徹底していて、1人1人の過去がわかる場面ではなんか脇役のスピンオフ見てるみたいな厚みがあった。

キャラの“人生・生き方”がわかるととても感情移入しやすい。

しかし人間を魅せてるというより人間を語ってるといったような作風。

そして全体的に推理多めの作品なので、そこまで感動とかは期待しないほうがいいです。

哲学的・ドラマチック的というよりあくまでサスペンス感強め。

 

というか読み始めてすぐに『この子たちは結局死ぬのか!?』の答えはなんとなくわかると思います。

まあ最後は納得納得。

まあそりゃね。。。と思いほっとしながらもしっかりとサスペンス的ビックリだけはさせてくれた。

この子達は生き方を知らなかっただけ。

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